焼入れでのお困りごと 12

特別編 ソルト焼入れに付いて

いつも閲覧有難う御座います。

今回は、特別編第2回としまして、ソルト焼入れを書いて行きたいと思います。

ソルト焼入れとは何か?

簡単に説明させて頂きますと、塩を溶かした中に熱い鋼材(製品)を入れて焼入れを行う方法です。

ここでの塩とは塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化バリウムなどを混合した中性塩で

高熱で溶かした中に熱く加熱した製品を入れて焼入れを行う方法です。

ソルト焼入れのメリットは?

硬度が入りにくい鋼材であっても高硬度が得られます。

主にS45C、S50C、S55Cなどが挙げられます。油冷処理では余り硬度は入りません。

鋼材組織の安定化、寿命向上が見込まれます。

完全マルテンサイト組織により後工程で

ワイヤーカットや放電加工をしても変形や経年変化の抑制をします。

ソルト焼入れの利点は?

塩の特徴から製品に浮力を与えて製品を浮かび上がらせる事無く熱処理が可能で

割れや欠けの起こりやすい高い負荷を掛ける工具や歪やすい製品に使用されるます。

主にSCM材のエンドミルや低炭素鋼での硬度が必要かつ図面上でソルト焼入れ指示が在る製品。

なぜ硬度が入るのか?

答えは沸騰するか、しないかで決まります、油冷焼入れでは冷却時に沸騰し製品に気泡膜が発生し冷却阻害が起こる為、硬度ムラや硬度不足が発生します、ソルト焼入れは冷却時に沸騰しない為、冷却阻害が起こらないので硬度が入ります。

いよいよ今年も後1か月になりました、1年早い物です、残り1か月を有意義に過ごしたい物ですね

ここで一句

厳冬の朝 霜柱踏む 子供かな

如何でしょうか?健康には御気お付けて来年を迎えましょう。

焼入れでのお困り事 11

何時も閲覧有難う御座います。

新しく始まる外注業者とのコラボレーションが実現!!

詳細は確定次第アップさせて頂きます。ご期待下さい!!

今回は特別企画、第1弾としまして真空熱処理以外の焼入れに付いて何回かに分けて上げて行きたいと思います。

第1弾としましては、多くのご依頼が有ります、高周波焼入れに付いて書きたいと思います。

高周波焼入れとは何か、簡単にご説明させて頂きますと、主要熱源は電気コイルですこのコイルに電気を流しコイルを加熱し製品の表面を加熱し、水にて急冷却する事で製品に硬度を持たせる処理法です。

もっと簡単に説明すると巨大な電子レンジと思って下さい。

高周波焼入れでは主に表面層1MM位の部位に焼入れを行います。簡単な連想としてカツオの叩きを連想して

下さい。表面は焼きが入って入るが中は生これとほぼ同じ状況になります。

かなり深くまで焼きを入れる事も出来ます。低周波焼入れと言います。周波数を有る一定の所まで下げて処理を行う事で、深い場所まで焼入れを行えます。簡単な連想として低温調理で行うローストビーフの様な物です。

この様に周波数を変える事で様々なアレンジが出来ます。

御依頼の際には是非ご相談下さい。

秋の色も濃くなって来ました、この前ふと空を見た時に鰯雲を見ました。

秋だなと思うと共に、一句

鰯雲 今夜のおかず 鰯かな と思ってましたら、本当に鰯でした。

皆様も晩秋の夜に、鰯で一杯いかがですか?

焼入れでのお困り事 10

何時も閲覧頂き、誠に有難う御座います。

今回は、焼入れ基礎知識編と致しまして、どの様に焼入れが行われて行くかに付いて、簡単にご説明させて頂きます。

焼入れとは鋼材をある一定の温度まで加熱し、一定時間保持した後、急冷却する事により、内部組織の変化が起き、鋼材が固くなります、これを焼入れと呼びます。

例としまして、珈琲牛乳を使って説明させて頂きます。

まず、牛乳と珈琲を鍋に入れ加熱します、沸騰した時点で珈琲と牛乳が混ざり合い、珈琲牛乳が完成します。

出来た珈琲牛乳を急速冷却すると、珈琲牛乳キャンディーと珈琲牛乳ゼリーに変化します。

この変化を焼入れと言い割合としまして、8:2の割合になります。

尚、組織の大きさとしましてはキャンディー2:1ゼリーの大きさとなります。

この後の工程としまして、低温戻し、高温戻し、サブゼロなどが有ります。

基本、焼入れ+低温戻し、高温戻しはセットと考えて下さい。

理由としましては、焼入れのみで放置すると、焼き割れの原因になる為、予防措置として低温戻しか高温戻しを実施します。

サブゼロの場合は、焼入れ+サブゼロ+低温戻しか高温戻しになります。

秋も深まりつつも、まだ暑い日が御座いますが、御健康には充分に御気お付けて季節の移ろいをお楽しみ下さい。

またこの度は台風の被害に合われた方々にお見舞い申し上げます。

焼入れでのお困り事 8

何時も閲覧して頂き有難う御座います。

今回は、完全焼頓に付いて書かせて頂きます。

完全焼頓とは何か、前回でも書かせて頂きましたが焼頓には応力除去焼頓、球状化焼頓、完全焼頓と種類が有り

用途に応じて処理内容が変化します、完全焼頓は一度焼入れをした製品を元の組織に戻したい、若しくは

加工にて生じたストレスを完全に除去したい場合に使用します。

まず組織を元に戻すとはどの様な事か焼入れを行なった場合

組織の変化にて焼入れを行いいますが、焼入れ後に加工忘れが有り加工をしたい場合に使える処理として

応力除去焼頓、完全焼頓の2種類が有りますが、出来る事で有れば完全焼頓で組織を戻す事をお薦めします

応力除去焼頓でも加工の出来る状態までは戻せますが完全には組織が戻りきっていない為焼入れの際に

歪みが予想以上に出る場合が御座います。

加工により生じたストレスを完全に除去したい場合とは3D加工などで作成した金型などの場合は、焼入れ後に

歪取りを行う事が困難な場合が御座います。精密金型などの焼入れ前処理として使用する事が有ります。

応力除去焼頓ではダメなのか?そうではなく完全にストレスを抜く事で歪みの軽減(応力除去では完全には抜けきりません)させる事で製品の品質維持をさせる事になります。

長々と書いてしまいましたが、結論としては用途に応じて色々な組み合わせが出来るのが焼頓と言う事で有り

リカバリーの効く処理で有るといえます。

最近では新型のオミクロンウイルスが猛威をふるっています、9月からは国産ワクチンの接種も始まります

早く収束して欲しいと思います。

焼入れでのお困り事 7

真空焼鈍(球状化焼鈍編)

何時も閲覧頂きまして誠に有難う御座います。

今回は、真空焼鈍(球状化焼鈍)に付いて書かせて頂きます。

前回の真空焼鈍(応力除去焼鈍)と今回の球状化焼鈍との違いに付いて書かせて頂きます。

前回の応力除去焼鈍は加工後真空焼入れの場合に用いられる処理方法で加工において製品に掛かっているストレスを除去する事が目的とされております。

では今回の球状化焼鈍とはどの様な処理なのかと言うと、「加工前」つまり母材の段階で事前に処置しておく前処理の事です。

ギヤーなどの製作の段階で母材削り出し(レース加工)を行う際に切屑が出ますがよく切屑がバイトやチップ台に絡みつき異常摩耗を起こし、欠損、破損を起こした事は御座いませんでしょうか?

切屑の絡みつきの原因が事前処置不足が一員とされております、チップやバイトが異常摩耗を起こすと製品の品質 特に面粗度の急激な劣化や命数異常に依る破損、欠損(ここで上げさせて頂く命数異常とは異常劣化により規定命数未達状態の事です。)による交換回数の増加及びコストの増加の一員となっております。

この事から、「加工前」に行う事前処理として球状化焼鈍が用いられます。

コストの低減、環境保全の観点から見ても事前処理を行なっておく事がベストではないかと考えております。

一度ご検討頂くのも一項かと思います。

次回は、真空焼鈍第3回、完全焼鈍編を書きたいと思います。

さて、早いもので、あっと言う間に梅雨が開けてしまい、暑い夏がやって来ました。花火大会や七夕祭り3年越しの開催となりました。人出が多くなります、最近では新型ウイルスBA5型が流行りだし感染者数も倍増傾向に有ります、感染も嫌ですが一人一人が感染対策を行い、楽しい夏休みを御過ごし下さい。

7/8に安倍元総理大臣が演説中に狙撃されお亡くなりになりました、心からのご冥福を申し上げます。

焼入れでのお困り事 6

閲覧有難う御座います。

今回は焼鈍に付いて、書いて行きたいと思います。

一口に焼鈍と申しましても色々有り、あと工程において適正焼鈍は変わって来ます。

今回は、一般的によく使用される「応力除去焼鈍」に付いて書きたいと思います。

応力除去焼鈍とは前加工にて母材に過度のストレス(今回の場合NC旋盤加工、3D旋盤加工などを指します)

受けた製品をそのまま熱処理致しますと熱を加えた瞬間にストレスが開放されてしまい製品に大きな歪みが発生いてしまい最悪使用不可の状態になってしまう事も有ります。

この様な事の無い様にする為に、応力除去焼鈍を行い焼入れする前にストレスを抜いておく事で過度の歪みの発生を抑える(出ない訳では有りません)効果として用いられる用法です。

たまにストレスリリース(SR処理)の同様の用法です。

いよいよ梅雨の始まりの時期となりました。

この1ヶ月は気分的にも落ち込む時期になります、この季節を逆手にとってレイングッズで気分転換を図るのも良いかと思います。

雨の日の自転車運転では傘差し運転は道路交通法で禁止されています。

お気に入りのレインコートで楽しく安全に外出してみては如何でしょうか?

次回は球状化焼頓に付いて書きたいと思います。

焼入れでのお困り事 4

何時も閲覧有難う御座います

今回は焼き割れ、ヒビ割れに付いてご紹介致します。

皆様もご経験が御座いませんでしょうか?

依頼したら割れていた、ヒビが入っていたなどといった事が・・・

原因としては焼入れ時における歪み割れ、歪み取り時におけるヒビ割れ等が考えられます。

プレート物では中央に肉厚の薄い部分が有る場合薄い部分の冷却が早く冷却差が生じ歪みの発生に耐え切れず割る事が御座います。

ヒビ割れに付きましては主にSK類歪み取り時におけるバーナー加熱時の温度差でヒビが入る事が御座います。

対策としてはダイス鋼類に付きましては、カーボンの上に置くなどで直接風が当たらない様な対策は取れますただ  完全に予防出来る物ではない為場合によっては発生する事が御座います(お困り事 3の事象が当てはまります)

SK類に付いては歪みの出にくい炉での処理、又は比較的歪みの出にくいバスケットの中央部に置くなどの対応は 出来ますがこちらも完全に予防出来る物では無い為場合によっては発生する事が御座います。

ご依頼の際にはお気軽にお声をお掛け下さい、適切なご回答をさせて頂きます。

またお客様にご了承を頂き処理を開始させて頂きます事が御座いますので宜しくお願い致します。

いよいよゴールデンウイークが始まりました、今年は規制の無い連休となりましたが感染者数がまだ多く予防処置を講じた上で楽しい連休を御過ごし頂きたいと思います。皆様に楽しい思い出が残ります様に!

焼入れでのお困り事 3

 こんにちは。当ブログを閲覧いただき誠にありがとうございます。今回は前回予告の通り、熱処理時の歪み・割れについて記載していきます。


 例として円筒形の製品(ここでは中抜け製品、いわゆるパイプ形状品についてとなります。)パイプ形状品の焼入れ時の注意点としまして、焼入れ後に楕円形状に歪みが出る可能性がございます。

 SK系及びダイス鋼系等鋼材の種類を問わず、歪みは発生いたします。一度発生してしまうと歪みを修正することは非常に困難になります。その為、ご依頼の際には内、外径に研磨代を十分に確保していただく必要があります。あくまで一般的にですが、0.4㎜程度の研磨代をとっていただく必要がございますが、肉厚・形状により異なります。

 1つの対策として、研磨代をつける以外に処理後にワイヤーカットをする方法もございます。ただし、この場合ワイヤーカットに対する熱耐性を製品に付与する必要が出てくるため、その場合硬度が低下いたします。

 熱処理時の対策方法として、製品の中にダミーの治具を入れて焼入れを行うことも可能です。ただし、この場合はSK系の製品については適用不可となります。理由としましては、油による冷却の際に油が製品とダミーの間に入らず冷却不良を起こし、硬度・金属組織が品質規格に満たないといった可能性がございます。

 以上の点から、適用できる対策が限られますのでご依頼の前にご相談いただければ幸甚に存じます。また高周波焼入れ、ソルト焼入れの対応も可能ですのでお気軽にご相談下さい。

 ウクライナ問題で世界中が慌ただしい状態になり悲しい現実が連日報道されております。戦争が肯定される事は決してありません。一日で早く終戦することを願うばかりです。早く笑顔の溢れる日が来る事を期待しています。次回は明るい話題で投稿出来る事を願っています。

株式会社メタルヒート(真空熱処理)
愛知県安城市/石川県志賀町
HP:http://www.metalheat.co.jp  / TEL:0566-98-2501

焼入れでのお困り事 2

こんにちは。

まず、前回のブログ内容について補足をさせていただきたいと思います。焼入れのイメージとして輪ゴムを両手で持った状態が焼入れ前の状態でそこから少し引っ張った状態が焼入れ後の状態になります。
伸びた側をXとすると引っ張られた側がYになります、Xが伸びた分Yが細くなるはずです。
寸法が長くなればそれだけ変寸も大きくなります。ボルト穴やピン穴を作る際は変寸を考慮に入れないと組み付け時にピッチがずれてしまいボルトやピンが入らない場合が有ります。また歪みによる位置ズレが発生する場合がございます。ご依頼の際は、お気軽にご相談頂けますよう宜しくお願い致します。

次回は、熱処理時の歪み・割れについての記事を書きたいと思います。

☆オリンピックも終わり日本勢は最多数のメダルラッシュで閉幕しました。このあとのパラリンピックの方にも期待したい所です。

株式会社メタルヒート(真空熱処理)
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焼入れでの困り事 1

こんにちは。
今回は焼入れでの困り事に付いて書いてみたいと思います。

焼入れのご依頼をされ、製品が戻ってきたら寸法が変わっていた、なんて事はございませんでしょうか?
これは焼入れ時における組織変化時の変寸によるもので、寸法に対し0.05%の変寸が発生しています。

例えば100㎜角のダイス鋼は、焼入れ後大凡0.05㎜の変寸が発生します。この事から、仕上がった製品を焼入れしてしまうと変寸により使用不可能になってしまいます。
ご依頼の際にはお気軽にご相談頂きます様よろしくお願いいたします。

さて、本日より北京オリンピックが開幕しました。先駆けてアイスホッケーでの初勝利がありました。今後が楽しみですね。観戦には行けませんが、自宅からの応援で楽しみましょう。

株式会社メタルヒート(真空熱処理)
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