焼入れでのお困り事 13

何時も閲覧有難う御座います。

今回は特別編第3回としまして浸炭焼入れに付いて書きたいと思います。

浸炭焼入れとは何か?

鋼材の中には炭素が存在し、焼入れを行う事で炭素組織が炭化組織に変化し硬度が入ります。

したがって、鋼材の中に有る炭素量が少ない鋼材に硬度を持たせる為には炭素を入れる事が重要になります。

これに付きましては前回の高周波焼入れ、ソルト焼入れでも同様の事案では有りますが、浸炭材と呼ばれる

鋼材に付きましては最初から炭素の含有量が少なく、炭素を表面上に浸透(8ミクロン程度)させて焼入れ

を行う処理方法です。ので表面上は硬くなり中は柔らかい状態になります。主にSCM420等の三桁番号の

真ん中の数字が3以下の鋼材が浸炭材と言われます。S25Cも同様です。

浸炭焼入れのメリットとしまして

表面上の硬化処理の為、表面は硬く中は柔らかい為機械の稼働シャフトなどの靭性が必要な製品にはもってこい

の処理と言えます、また防炭が出来る為浸炭処理後に加工が有る場合にも有効です。

ではどの様に処理が行われるのかと言いますと、まず製品を加熱し熱い所に炭素棒と呼ばれる物を投入し炉内の

炭素濃度を鋼材濃度より高くします、この状態で浸透圧により鋼材の中に炭素が入って行きます。

簡単に説明しますと魚の臭み消しの為に塩を表面に振り、中に有る余分な水分を出す処理が有りますがこれが

似ています、水を出した後に調理をすると中に味が入りますよねこれの事です。

デメリットとしましては

ネジ部などは先端部に炭素が入りすぎ加浸炭状態となり製品として脆い状態になり圧力が加わると割れや欠けが

発生してしまいます、先端部の鋭い物も同様の状態になる為防炭処置が必要になります。

また、含有量の多い物を処理すると同様の状態になります。逆に炭素が抜けてしまう脱炭状態も発生し兼ねますので

ご注意下さい。ご不明な場合は従業員にお声かけ下さい。

さて、早い物で今年も後少しとなりました。来年は兎年❝跳ねて景気も良くなる❝と言われますが、さてどうなりますか?物価と金利は上がり景気は下がるこれでは困ります。とはいえ来年は容赦なく来ます来年こそは良い年で有ります様に良い年越しをお過ごし下さい。

それではまた来年も宜しくお願い致します。